
【取材】nari_bow
日本全国にはさまざまな方言がありますが、イントネーションや語尾など、地方によって全く異なりますよね。
私たちが暮らす三重県にも面白い方言や他県では全く通じなかったりする方言がたくさんあります。今回はそんな三重弁を紹介してみます。
ーーーまずは代表的な方言を挙げてみましょう。
(1)「ささって」
標準語
1日後「あした(明日)」
2日後「あさって(明後日)」
3日後「しあさって(明々後日)」
しかし、三重弁の場合、途中で一つ入ってきます。
1日後「あした(明日)」
2日後「あさって(明後日)」
3日後「ささって」
4日後「しあさって」(明々後日)
(三重弁)ささっての夕食は、味ご飯でも炊こかー。
(標準語)しあさっての夕食は、炊き込み御飯にしようか。
三重県人と3日後以降の約束をする際は、日にちや曜日で約束するなど、くれぐれも注意が必要ですね。ちなみに、「味ご飯」も県外ではほぼ通じません。「炊き込みご飯」や「かやくご飯」のことをなぜか三重県人は「味ご飯」と呼びます。
(2)「つむ、つんどる」
三重弁)やっぱり休みの日のジャスコはつんどるなぁー。
標準語)やっぱり休日のイオンは混んでるね。
三重県人は「混む(渋滞する)」ことを「つむ」と言います。県外の人には「積む」と解釈されることが多く全く通じません。あと、イオンのことを大半の三重県人はジャスコと呼びます。中には「岡田屋」と呼ぶ強者も。これはイオンの前身であるジャスコ1号店が四日市店であり、イオンの起源の一つである「岡田屋」の創業が四日市市であることも関係しているのでしょう。
(3)「えらい」
三重弁)歩くのえらいで、ケッタで行くわぁー。
標準語)歩くのは疲れるから、自転車で行きますね。
三重県人は「疲れる・疲れた・大変」のことを「えらい」と言います。これも「偉い」と解釈され、「誰が偉いの?」など勘違いされることが多いです。また、ケッタは自転車の意味で、東海圏で使われている方言の一つです。原付バイクのことを「ゴンタ」と呼ぶ人もいます。
この他にも、「ゴミをほる(=捨てる)」や「ほっぺたをちみぎる(=つねる)」、「かんぴんたん(=干からびる)」、「とごる(=沈殿する)」など、他県の人からすると意味不明な方言が他にもたくさんあります。
ーーー「めっちゃかわいいやん」の「やん」が人気の三重弁。
そんな独特な三重弁の中でも、かわいいと評されるのが「〜やん」。
三重弁)「そんなんできやんやん!!」「ありえやん!!」
標準語)「そんなのできないじゃないか!!」「ありえないじゃないか!!」
このように標準語と比較してみると、ソフトで優しい言葉になる気がしませんか?
この優しい響きを使いこなす三重弁女子は意外と他県の男子から人気のようです。
しかし、この「やん」、さまざまな意味を持つマルチ方言なんです。これを使いこなせれば立派な三重県人です。
まずは、否定的な意味の「やん」。
もう食べれやん。
(=もう食べれない。)
実はこの否定の「やん」を「へん」にすると、更にかわいくなるという人も。
もう食べれへん。
かわいいですよね。思わず「もう、残してええよ〜」って言ってしまいますよね。
次に、強調する時の「やん」。
もう食べれやんやん!
(もう食べれないよ!)
否定の「やん」と重ねて使うことが多いですね。「食べれやんやーん」と伸ばして使うのもかわいいですね。
あと、同意を求める「やん」。
もう食べれやんやん?
(=もう食べれないよね?)
少し語尾を上げるのがコツです。
もう一つかわいいと思わせる三重弁の特徴が、語尾に「なー」や「さー」をやたらつけるところです。
例えば「あのね、私、昨日はよく寝れたので、今日はとても体調がいいんですよ。」を三重弁に変換してみましょう。
「あのなー、私なー、昨日さー、めっちゃ寝たからなー、今日はなー、めっちゃ調子いいんさー。」
いかがでしょうか?どうでもいい報告も、三重弁だと愛嬌があってかわいいですよね。
このように、どこか「おっとり」とした三重弁特有の響きが、世の男子からは人気のようです。ぜひ、三重県にお越しの際は、かわいい三重弁にも注目してみてください。
ーーー三重弁を使った、商品やサービスも。
日本橋にある「三重テラス」でも話題の、三重弁でデザインされた紙袋。
三重弁と言っても、特に昨年サミットが開催された伊勢志摩地方の方言が書かれています。
製作されたのは、松阪市に本社を置く紙小津産業株式会社。大正10年創業の老舗包装資材会社です。
伊勢志摩サミットをはじめ、今年は全国菓子大博覧会、平成33年にはみえとこわか国体が開催され、全国から多くの人が三重県を訪れる。
そこで、少しでも多くの人に三重県のことを知ってもらい、三重県の活性化につながれば、との思いで製作されたそうです。

三重テラスのFacebookページには、三重弁談義「三重弁が懐かしい!!」「どこで売ってるの?」など多くのコメントが寄せられ、紙小津産業さんにも商品の問い合わせが多く寄せられた。現在、三重テラスでも品薄状態で、追加生産を行っているそうです。今後は、伊勢志摩に限らす、三重県各地の方言を使ったご当地紙袋のリリースも視野に入れているとか。三重のお土産にいかがでしょうか?
この他にも、昨年12月から三重県内約400店舗以上のコンビニエンスストアやスーパーマーケットで、県内各地の方言(伊勢弁・伊賀弁・紀北弁・紀南弁)で音声案内するATM(イーネット)が設置されています。これば東海地区では初の採用で、全国でも7都道府県目のサービスです。
三重にお越しの際は、今ひそかに話題の三重弁にも注目してみてください。
関連情報
三重県の魅力をとことん味わうための――三重満喫力検定
https://www.mie30.pref.mie.lg.jp/feature/10626