カツオやタコに鹿肉まで!個性あふれる三重県のご当地バーガー5選

2021.7.20

グルメからエンタメまで 佐野 興平

お出かけの楽しみの一つといえば、その土地の食材を使った珍しいご当地グルメ。中でもご当地バーガーは、全国規模のグランプリが開催されるなど、人気ジャンルの一つ。三重県にも、地元食材を活用したご当地バーガーが豊富にそろっています。テイクアウトグルメの人気が高まる今、三重県の海の幸・山の幸を生かした、地元らしさにあふれた絶品ご当地バーガーを紹介します!

<Index>
街全体で盛り上げる! 鳥羽市の「とばーがー」
とれたての白身魚がリッチな味わいの「ロコ・フィッシュ」
ぷりぷりのタコの食感が楽しめる「タコマヨナッツ」
志摩市の海の恵みが詰まった「勝つお(鰹)バーガー」
山の幸の滋味深い味わいに舌鼓!「おいしかバーガー」
地元メーカーのたまり麹を使ったレアな一品! 「鈴鹿バーガー」

街全体で盛り上げる! 鳥羽市の「とばーがー」

三重県のご当地バーガーのなかでも、特によく知られているのが鳥羽市の「とばーがー」。鳥羽市役所 観光課の奥村元就(おくむら もとなり)さんに、生まれた経緯やその定義などをお聞きしました。

鳥羽市役所 観光課 奥村さん。手に持っているのはジュゴンがモチーフになった「とばーがー」のキャラクター。
©はっとりみつる

左が「トーバ」、右が「トパティ」。「トバティ」ではなく「トパティ」なのでお間違いなく。ハンバーガーの具材「パティ」からネーミングされているんだそうです。ご当地グルメのキャラクターがいるのも珍しいですね。

「鳥羽市の魅力の一つに”食”があります。鳥羽市が誇る豊富な食材を、多くの方に手軽に味わってもらうために、地元の食材にこだわったバーガーを”ご当地グルメ”にしようと呼びかけて、2010年から始まりました。『とばーがー』の条件をクリアして認定を受けたハンバーガーが、『とばーがー』を名乗ることができます」と奥村さん。
「とばーがー」の条件は、①パティ(具材)に鳥羽産の食材を使用すること、②注文を受けてから作ること、③鳥羽市内で販売されていること、の3つです。

現在、提供中の「とばーがー」は全部で13種類。しかも一つとして同じものがなく、どれも創意工夫された個性豊かなハンバーガーばかり。例えば、「鳥羽国際ホテル」の「鳥羽の幸 潮騒バーガー」(1,650円)は、鳥羽産の白砂海老(しらさえび)を厚切りベーコンに添えたバーガーと、鳥羽産のしらすと志摩産あおさノリをハンバーグに添えたバーガーの2種類が楽しめます。

また、旅館「秀丸 花ごころ」の「絶品あわびステーキバーガー」(2,916円)は、アワビのステーキを丸ごと1個使用するというぜいたくさ。ほかにも、カキやアジフライなど、海の幸とハンバーガーのユニークなコラボメニューがたくさんあります。カフェだけなく、観光施設や旅館、ホテル、昔ながらの喫茶店などさまざまなお店で提供しているのも、鳥羽市の街歩きを楽しむのにちょうどいいですね。

今回は、バラエティに富んだ「とばーがー」の中から定番人気メニューと、一本釣りした新鮮な魚が味わえるメニューの2つをピックアップ。お店にお伺いしてきました!

とれたての白身魚がリッチな味わいの「ロコ・フィッシュ」

鳥羽の海沿いエリア、小浜にある老舗旅館「浜辺屋」内の居酒屋でいただける「ロコ・フィッシュ」(500円)。名前のとおり地元でとれた魚にこだわった一品で、パティには、新鮮な白身魚のフライが使われています。一本釣りの漁師さんでもあるご主人が、毎日釣りあげる魚を日替わりで使用しているそう。取材日は真鯛でしたが、夏はスズキやキス、冬にはサワラやタチウオなども登場。包み紙にはその日の魚の名前が手書きで入っています。どんな魚が使用されているかは、そのときのお楽しみというのも面白いですね。

フライは、塩、コショウだけのシンプルな味付け。ジューシーな真鯛のうまみがより引き立ちます。たっぷりのタルタルソースとの相性も抜群で、今までの「白身魚のフライ」のイメージをくつがえす、リッチで肉厚な味わいがたまりません。

「とにかく魚がおいしいので、それを味わってほしくて、魚以外の具材はあまり使わず、シンプルに仕上げました」と考案した若女将は話します。

なんとバンズも自家製というこだわりよう。地元産のわかめの粉末、昆布出汁や、あおさの粉末を練り込んだバンズは、ほんのりと磯の香りがします。しっとりふわっとした食感になるよう、水分量の調整など、かなり試行錯誤を繰り返したそう。

居酒屋の店内には、カウンター席のほか、お座敷席も完備。ランチタイムには定食や丼ぶりを、夜は鳥羽の海でとれた新鮮な魚介類をたっぷり楽しめる一品メニューが用意されています。

「ロコ・フィッシュ」は、通年提供されていますが、数量が限られているので、確実に食べたい場合は、電話予約がベターですよ。

ぷりぷりのタコの食感が楽しめる「タコマヨナッツ」

鳥羽駅からすぐの場所にある、創業1976年の「喫茶チェリー」の「タコマヨナッツ」(600円)。焼いたコッペパンに千切りキャベツとレタス、オリジナルソースで和えたタコをたっぷりはさんで、最後にナッツをひとふり。プリップリッのタコの食感がインパクト大! マイルドなソースともぴったりマッチしています。ハンバーガーのバンズのかわりにコッペパンを使った、ホットドッグタイプの「とばーがー」。食べやすく、ガブリとほおばることができます。

カットしたタコをカラッとフライにしてサンド。マヨネーズやコンデンスミルクなどを使った濃厚な味わいのオリジナルソースは、中華料理の「海老マヨネーズ」からインスパイアされたそう。ご夫婦で経営しているこちらのお店。タコは、奥様の実家がある鳥羽市の答志島(とうしじま)でとれたものを使用しています。

バンズには地元のパン店「ブランカ」のコッペパンを使用。「とばーがー」としては後発だったため、普通のハンバーガーではなく何か工夫したいと考えて、コッペパンを思いついたそう。具材をサンドする前にトースターで軽く焼いて、ふんわりさせています。

こちらの「タコマヨナッツ」は5年ほど前から提供をスタート。「ここにしかない地元のバーガーを作りたくて、企画しました」と奥様の殿尾ひろ美(とのお ひろみ)さん。今後は、デザート系の甘い「とばーがー」を作りたいそうで、どんな食材を使おうかと思案しているところ。新しい「とばーがー」の誕生、期待できそうですね。
「タコマヨナッツ」は通年メニューで提供しています。連休などには、観光客が増えて売り切れることもあるそうなので、早めの時間での来店がオススメです。

志摩市の海の恵みが詰まった「勝つお(鰹)バーガー」

三重県の海の幸を味わえるご当地バーガーは「とばーがー」以外にもあります。

志摩市にある「志摩市浜島・磯体験施設 海ほおずき」で提供されている「勝つお(鰹)バーガー」(400円)。
志摩エリアを代表する郷土料理に「カツオのてこね寿司」がありますが、それと合わせて、「志摩は鰹のまち」ということをPRするために作ったそうです。2015年から販売開始。地元の特産品である、船越(ふなこし)みそをソースに使用し、志摩産のあおさノリを練りこんだ地元製パン店のバンズで、特製タレに漬け込んだカツオのカツをサンドしています。”カツオ”を使った”カツ”で、勝負ごとに「勝つ」という意味合いも込めた、縁起のいいネーミングとして考案されました。
ちなみに、包装紙には、浜島の恵比寿神社にある「えべっさん」が。「鼻かけ恵比寿」として地元の人に愛されている「えべっさん」の人気にあやかろうということで登場しています。
出来立てでサクサクのカツオのカツは、分厚くて食べごたえ満点。「あおさのり塩ポテトのセット」(500円)も人気だそうです。

山の幸の滋味深い味わいに舌鼓!「おいしかバーガー」

三重県の食材といえば、やっぱり肉もはずせません。その中でも、ヘルシーさで女性人気が高まっているジビエを使ったバーガーがあるということで注目。大台町にある「道の駅 奥伊勢おおだい」で食べられる「おいしかバーガー」(540円)です。

パティには鹿肉と豚肉を使用。地元産の大台茶が練り込まれたバンズから、ほのかに広がるお茶の香り。わさびの葉と茎の醤油(しょうゆ)漬けを入れたマヨネーズソース、さらに地元産のレタスとトマトを使うなど、地元産へのこだわりがしっかり詰まった、これぞご当地バーガーという完成度。

ヘルシーなジビエを使用したパティは、やわらかくてクセがなく、フレッシュな野菜との相性も抜群。さっぱりとした味付けながらも、噛むたびにしっかりとうまみが感じられます。マヨネーズソースには、わさびが使われているものの辛さはほとんど感じないため、小さなお子さんも食べられそうです。

人気の観光スポット「道の駅 奥伊勢おおだい」

「おいしかバーガー」は11時からオープンする「まごころ屋台」で販売されます。そのほか、地元産の野菜や加工品などを販売する直売所のほか、朝8時からオープンしている「まごころ食堂」など、いろいろと楽しめる施設。農産物販売コーナーでは、実際に「おいしかバーガー」に使われている生わさびや大台茶も販売されているので、お土産に良さそうですね。

駅長取締役の濵井幸太郎(はまい こうたろう)さんにお話をお聞きしました。
「こちらのバーガーが生まれたのは、2001年に地元のメニュー開発コンテストで優勝したことがきっかけです。もともとは地元でとれた鹿肉のみを使っていましたが、より食べやすくするために、豚肉を加えるなど改良し、今のレシピにたどりつきました」

バーガーを包む包装紙に「おおだいばーがー」と入っているのは、以前イノシシ肉を使ったバーガーを販売していたことの名残りだそう。また、地元の小学生たちが描いたイラストも印刷されています。一つ一つじっくり見ていくと、個性的な鹿や動物が描かれていて、とってもかわいいですよ。

地元メーカーのたまり麹を使ったレアな一品! 「鈴鹿バーガー」

鈴鹿市にある「Gravy Burger」(グレイビーバーガー)で販売されている「鈴鹿バーガー」(935円・テイクアウト918円)は、鈴鹿市、そして三重県の食材を使ったグルメなバーガー。

「Gravy Burger」は肉汁あふれる本格的なハンバーガーを提供する専門店で、「鈴鹿バーガー」は、鈴鹿市商工会議所と共同で開発し、6年前から提供しているそうです。地元の醤油メーカー「東海醸造」のたまり麹(こうじ)のほか、鈴鹿市内のパン店に特注したバンズ、地元産の卵、そして松阪牛専門店から仕入れる新鮮な牛ミンチを使った、ボリュームのある一品に仕上げられています。

ちなみに「Gravy Burger」では、ほかにも鈴鹿サーキットをイメージした「Fバーガー」など、鈴鹿市にゆかりのメニューが食べられるそうなので注目です。

三重県の豊富な食材のおいしさをぎゅっと詰め込んだご当地バーガー。どれも、地元の人たちのこだわりが感じられる個性的な味わいで、そこを訪れた思い出とともに、記憶にも残るおいしさでした。観光などで、三重県を訪れるときは、みなさんもぜひ一度食べてみてください。

■今回の取材先はこちら
鳥羽市役所 観光課
住所:鳥羽市鳥羽3-1-1(鳥羽市役所)
電話:0599-25-1157
URL:https://www.city.toba.mie.jp/kanko/tobarger/
(とばーがーホームページ)
浜辺屋
住所:鳥羽市小浜町272-58
電話番号:0599-25-2259
営業時間:11:30~13:30、17:00~21:00
定休日:火曜
URL:http://www.hamabeya.com/

喫茶チェリー
住所:鳥羽市鳥羽1-2383-13
電話:0599-26-3018
営業時間:9:25~17:30
定休日:木曜(繁忙期、年末年始は変動あり)
URL:https://cherry-cafe.jp/

道の駅 奥伊勢おおだい
住所:多気郡大台町佐原663-1
電話番号:0598-84-1010
営業時間:8:00~18:00(食堂は8:00~15:00、屋台は平日11:00~16:00、土・日曜・祝日10:00~16:00)
定休日:1月1日・2日(屋台は水曜)
URL:http://www.okuise-odai.jp/

志摩市浜島・磯体験施設 海ほおずき
住所:志摩市浜島町浜島465-14
電話番号:0599-53-1002
営業時間:9:30~16:00
定休日:火曜(夏休み期間は無休)、年末年始(12/28~1/3)
URL:https://www.umihozuki.org/

Gravy Burger
住所:鈴鹿市寺家町4265-1
電話番号:059-344-1114
営業時間:11:00~21:00(L.O.20:00)
定休日:火曜、第一、第三水曜
URL:http://gravy-burger.com/