
【取材】nari_bow
サンフランシスコから日本にやってきたダンデライオン・チョコレートを皆さんご存じだろうか?
世界のセレブや芸能人も御用達のチョコレート。
厳選されたカカオ豆とケインシュガー(きび砂糖)のみを原材料に、手作りにこだわっている、サンフランシスコ発祥の今話題のチョコレート店。
「ダンデライオン・チョコレート」とインターネットで検索するとよく目にする「Bean to Bar」というキーワード。このキーワードはカカオ豆の選別からチョコレートバーになるまでの全ての工程を自社のファクトリー内で手作りで行うことを意味している。とにかく一貫して品質にこだわったチョコレートだ。
そんなダンデライオン・チョコレートは2016年2月に東京に初上陸。
そして日本2号店が同年12月22日に、三重県伊勢市の外宮前にオープンした。
場所は伊勢神宮外宮前「うみやまあひだミュゼ」内。
大正12年に建造された逓信省旧山田郵便局電話分室の一角。
伊勢の老舗レストラン「Bon Vivant(ボンヴィヴァン)」の向かいの棟。
大正浪漫の趣きが佇むオレンジ色の屋根が目印。
早速オープン間もないお店にお邪魔させてもらった。
昔ながらの渋い洋館の店構えとは裏腹に、店内のハイセンスな雰囲気に圧倒された。
まるでサンフランシスコに来たような気分になる(行ったことないけど・・・)。
シンプルに並べられたチョコレート。
原材料(カカオ豆)の産地やチョコレートの味の特徴が、分かりやすくラベルに刻まれている。
全てのチョコレートの試食が用意されており、自分好みのチョコレートを選ぶことができる。

パッケージのラベルには、どこのファクトリーで誰が開発を担当したチョコレートかが記されている。
上の写真は、東京・蔵前のファクトリーのCHIEKOさんが手がけたもの。
スタッフさんに聞くと、カカオ本来の味を純粋に味わうことができるそうだ。
図らずしも完成したチョコレートバーは開発担当の職人さんの人柄に近い味わいになるという。
ちなみに、お酒好きのCHIEKOさんの作るチョコはお酒にもよく合うらしい。
作り手の個性を勝手にイメージしながら味わうのも楽しいかもしれない。
店内では、ドリンクやスイーツをいただくことができる。
私はまず、伊勢限定の伊勢ほうじ茶を使ったホットチョコレートを注文した。
度会町の「中森製茶」のほうじ茶を使ったホットチョコレート。
その名も「ISE HOT CHOCOLATE」。カカオ味の後にほうじ茶の香りが鼻を抜ける。
三重県民としてぜひ味わってもらいたい一品。
そしてもう一品、感動したというか、これまでのチョコレートの概念を覆されたペストリーがこれ。
パプアニューギニア産カカオを使ったスモア。
スモアとは、アメリカではBBQの際にマシュマロを焼いて食べる、最近では日本人もやっているアレ。
プレートに「・・・スモーキーな風味・・・」とある。
「スモーキーなチョコレート?」とは想像がつかなかったが、口に入れるとマシュマロが溶け、その後深みのあるローストされたチョコレートの風味が広がる。
こんな味のチョコレートは味わったことがなかった。これは虜になる。
東京・蔵前店でも人気ペストリーの1つだそうだ。
店内は3つの部屋が連なって構成されている。
ひとつはカフェカウンターとショップ。その奥にはカフェ・ワークスペース、ギャラリーとつながっている。
カフェスペースの中央に浮かび上がる畳。その昔、伊勢参りに訪れる旅人たちが立ち寄った茶店を連想させる。

中央のワークスペースでは「うみやまあひだ〜伊勢神宮の森から響くメッセージ〜」のカットが映されていた。

ーーー日本の美の原点がここにはある
ダンデライオン・チョコレート・ジャパンCEO、堀淵清治氏にお話しを伺った。

この日も多くのメディアからの取材に対応されていた堀淵氏。忙しい中、時間を割いていただいた。
個性的な出で立ちでどことなく近寄り難い雰囲気を醸し出されているように感じるが、とても気さくで我々の取材も快く引き受けてくださった。
年の半分をサンフランシスコで生活されている堀淵CEO。
漫画、ファッション、音楽、映画などさまざまなジャパンカルチャーをアメリカに発信、またアメリカの文化を日本に取り入れ新たなムーブメントを構築されている。
ダンデライオンチョコレートの他にも、あのブルーボトルコーヒーを日本に持ってきた人物でもある。
ーなぜ、三重県に出店したのですか?
ダンデライオン・チョコレートの伊勢への出店を聞いて、まずその疑問が浮かんだ。
18年前に初めてここ伊勢神宮外宮を訪れた堀淵氏。
そのときにこのまちに衝撃を受け、以後頻繁に訪れるようになったという。
堀淵氏:日本中どこの田舎へ行ってもピースフルな感じを受けますが、ここ伊勢はやはり神さまの気配に満ちた格別の静けさと安定感を感じます。初めて外宮の正宮を訪れたとき、ここは日本の美(デザイン)の原点だと強く感じました。それ以来、幾度となく引き寄せられるように訪れるようになりました。
ー昔から持たれていた伊勢神宮への想いが重なりここへの出店を決めたのしょうか?
堀淵氏:伊勢に出店しようなど、夢にも思っていませんでした。人とのご縁でこの場所を紹介していただいたのです。お話をいただいたときは、伊勢神宮好きの私にとっては本当に嬉しかったです。
堀淵氏の伊勢神宮への想いが届き、神が引き寄せたのでしょう。
ーーーモノづくりを一緒に楽しめるまち
伊勢店オープン当初、堀淵氏は地元の人と触れ合いたいとの想いで伊勢市河崎の古民家を生活の拠点としていた。このまちが持つ空気を肌で感じるため、地元の商店に自ら足を運び暮らしたとのこと。
ーダンデライオン・チョコレートから見る三重県の魅力とは?
堀淵氏:三重県には恵まれた食材がたくさんある。食材を作る生産者、それを調理・加工する職人。古くから彼らが作り上げたクラフトマンシップが実は根ざしている県だと思います。我々ダンデライオン・チョコレートもまた同様で、素材・製法までを一貫してこだわり、クラフトするブランド。クラフトという文化を面白いと共感し、共に成長させてもらえる土地だと確信しています。
堀淵氏:そして、三重県はまだまだクラフト文化を発展させる可能性を秘めている。ここ伊勢を起点にこの文化がさらに発展し、クラフトムーブメントが成熟すれば、三重県の新たな魅力になる。ダンデライオン・チョコレートが微力ながらも小さなきっかけとなって、伊勢神宮外宮がもっともっと多くの人が集う場所になってくれれば、伊勢にやって来た甲斐があるというものです。
海・山・水に恵まれた三重県。
水一つとっても「同じコーヒーを淹れても東京とは味が違う」とスタッフの方からも伺った。
モノづくりに携わり、素材にこだわる人々にとって三重県は宝物だらけなのかもしれない。
そして、古くから参拝客をおもてなしするという精神があり、より良いものを創造するというクラフト文化が既に存在しているのだろうと感じた。
サンフランシスコと日本を結び、世界のクラフト文化を創造されてきた堀淵氏の目に伊勢というまちは、そう映っているのかもしれない。
【関連情報】
「観光三重」でも取材記事が公開されています。
https://www.kankomie.or.jp/report/detail_184.html
三重テラスショップでもダンデライオン・チョコレートの製品を販売しています。
http://www.mieterrace.jp/info/20170125/
「やっぱり伊勢神宮!」「今年は伊勢市で”お伊勢さん菓子博2017″が開催されるらしい!」
・・・伊勢市に興味を持った方は、「つづきは伊勢市で」もご覧ください!
■お伊勢さん菓子博2017
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