
三重県には有名お菓子メーカーがひしめいている!
2017年、60万人近い入場者を記録し、大盛況のうちに幕を下ろしたのが「お伊勢さん菓子博2017(以下、菓子博)」。和菓子や洋菓子、いろいろなお菓子で大いに盛り上がったのですが、実は三重県には、みなさんがご存じの、あのお菓子やアイスを作っているメーカーがあるんですよ。
今回は、関西を中心にグルメ系の取材を多くこなすライター・佐野が、三重県にあるお菓子メーカーを突撃。定番商品はもちろん、三重を訪れたら買いたい、珍しい“ちょっと自慢できる商品”を教えてもらいました。さらに、三重県内でもレアなドリンクも。「あのお菓子って、三重県生まれなの!?」と驚くこと間違いなし。お菓子を買いに三重へいらっしゃ~い!
※記事中の価格はメーカー希望小売価格(税抜)。表記がない商品はオープン価格
◆関西でも人気のお菓子
「おにぎりせんべい」の誕生は伊勢!
株式会社マスヤ
「おにぎりせんべい」と聞いて、関西エリアにお住まいなら、商品がパッと頭に思い浮かぶ人も多いはず。関東でもコンビニなどで、見かけたことのある人がいるのでは? その「おにぎりせんべい」を製造・販売している株式会社マスヤがあるのは、三重県伊勢市なんです。営業本部チームリーダー補佐の田中未来さんに話を聞きました。
————— 「おにぎりせんべい」ができたのは、いつごろですか?
田中さん「1969年の発売です。起業は1965年で、最初に出した商品が『おにぎりせんべい』でした。
もともと創業者は、伊勢に来た方に召し上がっていただいたり、お土産としてご購入いただいたりする和菓子の商売をしていました。ですが、当時はスーパーマーケットの成長時代。より大きな市場に挑戦したいと、会社を創業したそうです」
▲今回、お話をお聞きした田中さん。ご自身も三重県出身。
▲キャラクター“おにぎり坊や”は発売30周年記念に誕生。130円(62グラム、写真)。
————せんべいというには、かなり軟らかで、独特の食感ですよね?
田中さん「硬いせんべいが主流だったところに、口どけのいいおせんべいを作りたいと考えたのが最初、と聞いています。味も、しょうゆ辛いものではなく、うま味の利いた甘いタイプをという考えが、今の味付けの元に。形も、それまでの米菓には、丸や四角が多かったのですが、三角形のものがあってものいいのでは、と。お米からできていて、三角形といえばおにぎり…ということから、名前も『おにぎりせんべい』になったようです」
▲サックリとした食感と、うま味のある独特の味わいがクセになる。
————ホームページを見たところ、バリエーションがあるようですね。
田中さん「塩味の『銀しゃり』、おにぎりせんべいを割ってもう一度タレを付けた『おにせんクラッシュ』、濃厚な味が特徴の『おにぎりせんべい乙』、ほかにもかわいいサイズの『ミニおにぎり』などがあります。また、“『おにぎりせんべい』で季節を感じていただけるような限定商品を”と、今年の春から季節限定商品をリリースしています」
▲2017年秋の限定商品は、まつたけ風味、かぼちゃクリームスープ味。130円(各52グラム)。売り切れ次第販売終了。
このほか、2010年販売の“ソース味”は出荷量が少なく、三重県内でもあまり見かけないとのこと。三重に行った際、もし見つけたら即ゲットして、お土産にしちゃいましょう。きっと喜ばれますよ。
▲三重県内でも見かけることが少ないというレアアイテム。130円(55グラム)。
“三重だけ”などエリア限定の商品をチェック
————珍しい商品はありますか?
田中さん「一つは、『でかおにぎりせんべい』です。これは、本社に隣接する「伊勢おかき本舗」と、伊勢内宮前のおかげ横丁にある「銭屋」さんの2カ所でしか手に入りません。生地が大きいので、通常の工程では作れないのです。味付けも、のりを貼るのも、袋に入れるのも、一枚ずつ手作業で行っているので、とってもレアなんですよ」
▲ほとんどの工程が手作業というレアな「でかおにぎりせんべい」は390円。
田中さん「もう一つは、中部と九州地方が主な販売エリアの『ピケ8(エイト)』。北海道産発酵バターを使った香りとコクが特徴です。パッケージを考えるときに、『おにぎりせんべい』の歌舞伎の男性的なイメージのパッケージに対して、『ピケ8』は華やかで女性的に、そして、おにぎりせんべいの和のイメージに対して洋で…ということで、タータンチェックのパッケージになったと聞いています」
▲通常版(右)のほか、40周年記念キャラクターの入ったパッケージも。130円(各62グラム)
▲塩味とバターの絶妙なコンビネーションは、食べ始めると止まらない!
マスヤでは、2013年の伊勢神宮の式年遷宮の際に奉祝パッケージの商品を発売したほか、2016年の伊勢志摩サミット開催時にはサミットのロゴマーク入り商品、2017年の菓子博でも記念商品をリリースするなど、さまざまな限定商品を登場させているそう。「三重県で何かあるときには、わが社からも三重県を発信しよう、という精神です!」と田中さん。これからも三重発のレア菓子の登場に期待がかかります。
◆あのアイスも必然から生まれた!
旅のお土産にあずきのお菓子を
井村屋株式会社
日本全国に名が知られる、硬いアイスキャンデーといえば、そう、井村屋の「あずきバー」。実はこれも、三重県生まれ。今年で創業120年の歴史を、あずきとともに歩んできた会社です。井村屋グループ株式会社の執行役員 経営・海外事業戦略部長の岩本康さんにうかがいました。
————もともとは和菓子屋さんだったそうですね。
岩本さん「1896年に松阪市で和菓子屋として創業し、最初は羊羹(ようかん)を作っていました。この時代は、羊羹も家庭で作っていたようで、それを家業として始めたのがきっかけです。その後、戦後間もないころにはパンの委託加工やビスケット、チューインガムの製造なども行っていました」
▲本社にあるギャラリーには、貴重な過去の商品などがディスプレーされている。
————いろいろなものを作る技術があったのですね。
岩本さん「とはいえ、本流は和菓子。あんを炊く技術、包む技術という井村屋のDNAで、現在の商品作りにもつながっているんです。あんを炊いて作る『あずきバー』に加え、コンビニでおなじみの肉まん、あんまんは包むことから派生していますしね」
▲全国に多くのファンを持つ定番。写真は6本入りのBOX、330円。
————そのあずきバーができた経緯を教えていただけますか?
岩本さん「1962年にアイスクリーム事業を始めましたが、すでに大手メーカーが先行していました。そこで悩んだ末に“ウチは和菓子屋じゃないか、あずきがあるじゃないか”ということで、1973年にあずきバーが生まれました」
▲原料はあずきと砂糖、水あめ、食塩、コーンスターチだけ。硬いのは添加物を使っていないからだそう。
▲2012年には「やわもちアイス」も発売。溶け始めがおいしいとのこと。各130円。
————県外の人が訪れたときに、お土産にできる商品はありますか?
岩本さん「伊勢神宮の神宮杉をイメージして作った『神代杉バウムクーヘン』はどうでしょう。全国販売ではあるものの、出荷はほぼ、三重県に集中しています。三重県産の小麦粉や、伊勢ゆかりの清酒などを原料に作っています」
▲縁起物とされる五角形をパッケージデザインに採用。1,200円
岩本さん「そしてもう一つが、2017年4月販売の『みえどら娘』。三重県は伊勢神宮の天照大神をはじめ、海女さんなど女性が活躍する場面が多い。そこで女性をモチーフにした商品を考えました。あんは、もちろん自家製。小麦粉や塩など、原料は三重県産にこだわっています」
▲パッケージに描かれているのは商品キャラクターの“みえさん”。
▲パッケージデザインは、三重県の名所や名物が12種類。
ちなみに、「みえどら娘」のパッケージは全12種類。1箱6個入りですが、ランダムに入っているため、2箱買っても全種類がコンプリートできるわけではない、というレアさもたまりません。
————ほかに新たな展開はありますか?
岩本さん「『スポーツようかん』という商品を販売しています。ワンハンドで身体にゆっくり吸収される持続性エネルギー糖質や、塩分を補給できる羊羹です。羊羹はお茶と一緒に、切って食べるもの、という常識を覆して、アウトドアでも食べていただこうという考えで提案しました」
▲運動時の行動食というニーズに応えてくれる「スポーツようかん」。あずき500円、カカオ600円(各5本入り)。
世界にあずきの文化を広げるため「おいしい!の笑顔を作る」をモットーに、海外事業会社の設立などグローバルな展開も!「多様性がウチの特徴です。そして根幹にはあずきがあります」という岩本さんの言葉通り、これからも続々と登場するであろう、あずきを使った新商品に注目したいですね。
◆三重県ご当地ドリンクも!
鈴木鉱泉株式会社
▲レトロでかわいいラベルとグリーンの瓶が印象的(120円、180ミリリットル)。
こちらは、2015年の「みえセレクション」に選定された「スマックゴールド」。三重県桑名市にある鈴木鉱泉株式会社が、昭和43年に生み出したご当地ドリンクです。当時、海外メーカーが参入してきたことで、危機感を覚えた社長が一念発起。流行していたクリームソーダを瓶詰めにするというアイデアから誕生したそう。
東海3県以外の飲料メーカーでも製造され、“クリームのささやき”というキャッチフレーズと爽やかな味わいでヒットしました。
会社がある桑名市を中心に、四日市市や伊賀市、津市、松阪市、尾鷲(おわせ)市などで、地産地消に理解のある一部スーパーや、コンビニエンスストアで購入可能です。歴史あるご当地ドリンクは、見つけたら“買い”ですよ! ※愛知県、岐阜県、富山県、東京都の一部でも販売あり。
三重県って“お菓子県”でもあるんだ、ということを気づかせてくれた今回。取材をするまで、「あずきバー」が三重県生まれだなんて、私は知りませんでした。三重県を訪れたときは、地元メーカーのレアなお菓子をゲットできるチャンス。ぜひチェックして、楽しんでください!
- 今回紹介した商品情報はコチラをチェック!
- ★株式会社マスヤ(おにぎりせんべい、ピケ8ほか)
電話:0120-917-231(お客様相談室)
受付時間:9:00〜17:00(祝祭日、年末年始、GW、夏季休暇を除く月曜日〜金曜日)
http://www.masuya.co.jp - ★伊勢おかき本舗(でかおにぎりせんべい) →【閉店】
住所:伊勢市小俣町相合1306 - ★銭屋(でかおにぎりせんべい)
住所:伊勢市宇治中之切町52
電話:0596-23-9014
営業時間:9:30~17:30(季節により異なる)、年中無休
http://www.okageyokocho.co.jp/ - ★井村屋株式会社(あずきバー、神代杉バウムクーヘン、みえどら娘ほか)
電話:0120-756-168(井村屋お客さま相談ルーム)
受付時間:9:00〜17:00
https://www.imuraya.co.jp - ★鈴木鉱泉株式会社(スマックゴールド)
電話:0594-23-7411
http://suzuki-kosen.tcp.jp - ※掲載の情報は2017年10月20日現在。
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