三重県随一の蕎麦(そば)産地・いなべ市に、絶品蕎麦を食べに行こう

2017.12.1

おでかけ情報はおまかせ 内山真紀

三重県一の蕎麦の産地・いなべ市が誇る
ブランド「いなべの里の蕎麦」

お出かけが大好きなライター内山です。今回は、三重県でおいしい蕎麦が食べられると聞き、いなべ市へ行ってきました。

いなべ市農林商工部 獣害・ブランド対策室の伊町裕一さんによると、三重県の最北端に位置するいなべ市では、蕎麦の栽培に適した気候を生かし、2002年から栽培をスタート。2012年からは特産品にするため、いなべ市産の蕎麦の実を「いなべの里の蕎麦」として、ブランド化に取り組んできたそうです。安定した品質の蕎麦の実を収穫するために、いなべ市と生産者が協力し、試行錯誤の結果、現在の作付面積は62ヘクタールを超え、三重県一の産地に。メディアなどでも注目され、県外の蕎麦好きが訪れるまでになっているとか!
IMG_8407
いなべ市では甘みがあり香りが高い「常陸秋蕎麦(ひたちあきそば)」という品種を栽培し、毎年、10月中旬には白いかれんな蕎麦の花が満開になります。一面を真っ白に染める光景は、いなべ市の秋の風物詩に。
DSCF4191
「目指せ!日本一の蕎麦打ち人口」を掲げ、蕎麦打ち昇段試験を年1回実施。初段から五段まであり、有段者はなんと200人! 挑戦者は蕎麦打ちの奥深さにどんどん引き込まれ、昇段試験に向けて日々練習を重ねているとか。市民のみなさんの生活にも、蕎麦が根付いているんですね。

IMG_4420
また、毎年秋には「そば祭り」も。2017年11月5日(日)に開催された「そば祭り」には、1万2,000人が来場したそう。

軽IMG_4442
そば祭りには、いなべ市のご当地キャラ「うめぼーや」の姿も。子どもたちに大人気!

 

いなべ市内には、ブランド「いなべの里の蕎麦」で打った蕎麦を食べられる飲食店がたくさんあります。
紹介する前に、蕎麦の実の話を少しだけ。

収穫した殻付きの蕎麦の実は、ひき方によって名前や特徴が異なります。
玄そばひき分け
写真左から
〈玄蕎麦〉鬼殻という黒い殻が付いたままの蕎麦の実。米でいうところの、もみ殻が付いた状態。
〈丸抜き〉鬼殻をむいたもので、米でいう玄米の状態。
〈1番粉〉蕎麦の実をすりつぶしたときに、最初に出る粉。更科(さらしな)ともいわれ、粘りが少ないのが特徴。
〈2番粉・3番粉〉1番粉より外側の部分で、香りが強く粘りがある。
〈下粉〉3番粉より外側の部分で、2番粉・3番粉に混ぜて使用。つなぎの役割がある。
それぞれのお店では蕎麦粉の配合にこだわり、その割合は企業秘密なのだとか。
DSC_0057
では、いなべ市に蕎麦を食べに行きましょう! 今回は、いなべ市が運営するWebサイト「美し国三重 いなべの里の蕎麦」に紹介されている3店を訪れました。※記事中の価格は税込み。

 

◆毎日打ち立ての蕎麦が自慢!

●とんぼり 

_P3A9710
今年でオープンから30周年を迎える地元の人気店「とんぼり」では、約10年前からいなべ市産の蕎麦粉を使用。「どの産地の蕎麦にもひけをとらない」と店主が太鼓判を押す蕎麦粉は、生産者から直接仕入れ、麺は毎日厨房の奥にある製麺所で打った、作り立てを用意。ゆで立ての蕎麦はツルッとのど越しがよく、地元客はもちろん観光で訪れるお客さんからも好評なのだそう。店内にはテーブル席のほか、座敷席もあるので家族連れでの利用にもおすすめです。

_P3A9802
大きな天然エビの天ぷらが2本ものったぜいたくな「海老おろしそば(冷・温)」1,000円。ほどよいコシのある蕎麦に、少し甘めのぶっかけつゆがマッチ。ゆで立ての舌触りのよい麺が、するりとのどを通っていきます。サクっと揚がったプリプリの天ぷらで、大満足の一杯です。

_P3A9765
こちらは、生産者から直接仕入れた大きな南高梅の梅干しで、さっぱりといただける「梅おろしそば(冷・温)」800円。

_P3A9904
店主の安藤好雄さんは、蕎麦粉と水の配分に気を配りながら、毎日打ち立てにこだわっています。

_P3A9722 トリミング
「おいしいものを手ごろな価格で食べてもらうのが、私のモットーです。生産者がわかる食材を使い、安心・安全にこだわっています」と、笑顔の安藤さん。

 

◆珍しい旬の地野菜も食べられる

●農業レストラン フラール

_P3A9572
次に紹介するのは、岐阜県との県境にある自然豊かな「農業公園」の敷地内のレストラン「フラール」です。いなべ市で取れた旬の野菜をビュッフェスタイルで楽しめる店内には、四季折々の素材を使用した、40種以上のメニューが並びます。いなべ市の豊かな自然に育まれた野菜を、心ゆくまで食べられると、リピーターが続出しているのだとか。

シェフの北村光弘さんは、「いなべの里の蕎麦」の蕎麦粉を使った製麺・商品開発の仕掛け人の一人。ひき立て・打ち立て・ゆで立ての麺を急速冷凍することで、香り高い蕎麦の商品開発に成功したそう。
_P3A9620
「ざるそば」600円(単品)は、香りが強くのど越しがいい、2番粉・3番粉を使用。1番粉(更科)に近い、透明感のある麺が特徴です。ツルッとしたのど越しと、ふわりと蕎麦の香りが感じられ、とても上品。まずは、薬味なしで、蕎麦本来の味と香りを味わうのがオススメです。

_P3A9669
ダシのおいしさが染み渡る、寒い季節にピッタリの「かけそば」600円(単品)。

_P3A9650
取材時には里芋や秋ナスなど季節の野菜を中心としたメニューでしたが、ときには珍しい野菜も登場するそう。ビュッフェは大人1,188円、子ども(7歳~12歳)864円、幼児(3歳~6歳)324円。

_P3A9701
「ビュッフェには蕎麦も並ぶので、ぜひ旬の野菜料理と蕎麦を楽しんでください」と、シェフの北村さん。

 

◆石臼で挽き立ての蕎麦粉で打つ、コシのある蕎麦が自慢

●麺処 はな
軽_P3A9484
“花の山”として有名な藤原岳の登山口の近くにあり、連日登山客でにぎわうのが「麺処 はな」。いなべ市障がい支援センターの就労継続支援施設として2010年にオープンしました。近くにある「麺工房 はな」で、蕎麦の実の製粉から麺打ちまでを行い、「麺処 はな」で、ひき立て・打ち立て・ゆで立ての蕎麦を提供しています。
玄蕎麦の殻を取った“丸抜き”で打たれた蕎麦は、コシがあり、蕎麦の香りと甘みをより感じられるのが特徴。麺工房の石臼で丁寧にひかれた蕎麦粉は、蕎麦打ち用に購入することもできるので、興味のある人は挑戦してみてください。
_P3A9513
丁寧に打たれた蕎麦は細切りながらコシがあり、かむほどに蕎麦の味を感じられます。田舎蕎麦に近い色の濃い麺が特徴ですが、繊細で素朴な味わい。写真の「ざるそば」600円は、200g以上ありボリューム満点でしたが、ペロリといけちゃいますよ。

_P3A9527
玉ねぎのかき揚げにカボチャ、サツマイモなど地元で取れた旬の野菜をサクッと揚げた「天ぷら」150円。ざるそばとセットで注文するお客さんが多い、人気メニューです。

_P3A9540
野菜の天ぷらにとろろ、温泉卵がのった、お店のイチ押しメニュー「はな盛りぶっかけそば」900円。具が盛りだくさんのぶっかけそばは、食べ応えあり!

_P3A9563
「製粉・製麺から調理まで、こだわりが詰まった蕎麦を提供しています。ぜひ、食べにいらしてください」と、スタッフのみなさん。

せっかく蕎麦の産地へ来たのなら、蕎麦打ちも体験したいですよね。
いなべ市には、蕎麦打ち体験ができる施設もあります。

 

◆蕎麦好きを魅了する蕎麦打ち体験

●ふれあいの駅 うりぼう

2014_07310004

地域で生産された農産物を地域で消費する、地産地消を理念に活動している「ふれあいの駅 うりぼう」。地元で取れた野菜や加工品などが並びます。生産者が自ら打った麺や、「うりぼう」で商品開発した蕎麦の生麺や乾麺も販売しています。
「いなべの里の蕎麦」を広める活動の一つとして、オープン当時から続いているのが蕎麦打ち体験教室です。材料にはもちろん、ひき立ての「いなべの里の蕎麦」の蕎麦粉を使用。初めて挑戦する人も、最初は戸惑いながらも次第に夢中になるのだそう。最後はざる蕎麦にして試食。自分で打った蕎麦は格段においしく、蕎麦打ちのとりこになる人が多いというのもうなずけます。
一鉢の体験で5人分の麺ができるので、試食以外はお土産に持ち帰れるのもうれしいですね。

うりぼう_体験
参加者は、以前は、いなべ市近郊の男性が多かったそうですが、近ごろは、遠方からの参加者や、女性も増えているそう。
「水回し」「練り」「のし」「切り」「ゆで」など、それぞれの工程にコツが必要ですが、それを会得するのも楽しみの一つ。回を重ねるごとに上達していくおもしろさが、蕎麦打ちの魅力なのだそうです。

<蕎麦打ち体験>
開催日:毎月第3日曜/9:00~12:00
料金:一鉢2,500円 ※一鉢1人が原則(家族での参加の場合は1鉢に2人まで入れます)
所要時間:後片付けを含め約3時間/予約制(定員10人で満席)
※一鉢1人・3人以上で適時開催

「三重県の麺」と聞いて思いつくのは「伊勢うどん」でしたが、三重でこんなにおいしい蕎麦が食べられるんだと、発見できた今回の取材。訪れた3店舗だけでも、それぞれに蕎麦の特徴があって、違いが楽しめました。蕎麦屋めぐりをして、いろいろなお店を食べ比べてみるのもいいですね。

 

いなべの里の蕎麦
いなべ市が蕎麦の情報を発信するWebサイト「美し国三重 いなべの里の蕎麦」では、今回紹介した以外の店舗のほか、イベント情報なども発信。
美し国三重 いなべの里の蕎麦
今回紹介したお店・施設はコチラ
★とんぼり
住所:いなべ市大安町石榑東2004-3
電話:0594-78-2711
営業時間:11:00~20:30、水曜・第2火曜休
★農業レストラン フラール
住所:いなべ市藤原町鼎3071
電話:0594-46-6370
営業時間:11:00~14:00、水曜休
http://www.restaurant-fleur.com/
★麺処 はな
住所:いなべ市藤原町山口1949-1
電話:0594-46-8111
営業時間:11:00~14:00(L.O.13:45)、日・月曜、祝日休
http://www5.cty-net.ne.jp/~bamboo-h/mysite2/
★ふれあいの駅 うりぼう
住所:いなべ市員弁町大泉2517
電話:0594-74-5866
営業時間:8:30~17:00、火曜休
https://www.net-uribou.jp/index.html

関連情報

つづきはいなべ市で
 
■桑名市から東員町、いなべ市を結ぶローカル線「三岐鉄道北勢線」に乗ってみよう
https://www.mie30.pref.mie.lg.jp/play/4151
三岐鉄道北勢線
 
■伊勢うどん大使オススメ!伊勢にわざわざ食べに行きたい伊勢うどん3選
https://www.mie30.pref.mie.lg.jp/eat/9323
伊勢うどん
 
■観光三重 いなべ市の紅葉の名所「聖宝寺」(しょうほうじ)