ご当地調味料とともに楽しむ!おうちで作りたい三重の名物グルメ

2020.5.1

南出 千賀

新鮮な海の幸と山の幸が豊富で独特の食文化を持つ三重県。三重県の海辺の町で生まれ育った私は、朝ごはんからお刺身が出るのが当たり前の家庭で、トンボシビというお魚(いわゆるビンチョウマグロ)をよく食べていたのが懐かしいです。

はじめまして。食メディア「おうちごはん」元編集長、現在は料理が楽しくなるオンラインマルシェ「Komerco(コメルコ)」の南出千賀(みなみで ちか)です。「おうちごはん」では初代編集長として每日の食卓が楽しくなるアイデアや食トレンド情報を発信していました。そして今携わっている「Komerco(コメルコ)」では全国の職人やうつわ作家さんなどが想いを込めて作った道具やうつわ、調味料など、料理が楽しくなるアイテムをご紹介しています。一貫して食に関わるお仕事をしておりまして、ご当地グルメや特産品、調味料情報には目がありません。
両サービスとも私が愛をもって関わってきたサービスですので、ぜひチェックしてみてください!(宣伝。笑)

さて今回は、そんな私が三重県の名物グルメを3つピックアップし、おうちでも楽しめる再現レシピをご当地の調味料とともにお届けします。

 

■大勢でわいわい食べたい「手こね寿司」

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「手こね寿司」は、もともとは漁師料理。諸説ありますが、志摩地方の漁師が漁の合間に捕れたてのカツオやマグロをさばいてしょうゆのたれに漬け込み、酢飯とともに手で混ぜて豪快に食べたことが発祥なんだとか。

材料(4人分)

―かつお・・・200〜250g
―米・・・2合
―すし酢・・・60ml
(※すし酢は作ってもOK。酢 40ml、砂糖 40g、塩 小さじ1 を鍋に入れ、砂糖を溶けるまで火にかけて冷ましてからお使いください)
―大葉(千切り)・・・適量
―しょうが(千切り)・・・適量
―白ごま・・・適量

<かつおの漬けだれ>
―しょうゆ・・・75ml
―砂糖・・・40g

作り方

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1. 漬けだれを作る。鍋にしょうゆと砂糖を入れて火にかけ、砂糖を溶かし冷ましておく。

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2. かつおを5mm幅程度に切り、1.の漬けだれに10〜15分漬けておく。
これ以上置くとたれの味が濃くなってしまうので、漬けすぎにはご注意を! 酢飯ができるまで15分以上かかるようなら、かつおを取り出し、漬けだれと分けておきましょう。

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3. 炊きたてのごはんにすし酢と2.の漬けだれ大さじ2を回しかけ、ごはんを切るように手早く混ぜて冷ます。

春の新物のあさりをたっぷり使ったおすましも添えてみました。
春の新物のあさりをたっぷり使ったおすましも添えてみました。

4. かつおをごはんの上に飾り、千切りにした大葉としょうが、白ごまを散らしたら出来上がり。

実は私自身、手こね寿司を作ってみたのは今回が初めてでしたがとっても簡単で華やか! あっさりと食べやすいので、お祝い事などのハレの日に大勢で作って食べるのにぴったりな料理です。新鮮なカツオやマグロが手に入ったらぜひ試したい一品です。

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今回は酢飯を作る際に、三重県津市で明治20年創業のお酢のメーカー山二(やまに)造酢株式会社の『料亭寿し酢 300ml』を使いました。すし酢は酢と砂糖と塩で手軽に作れますが、市販のすし酢を使うとぐっとハードルが下がりますよね。山二造酢のすし酢はまろやかな口あたりで、酢が苦手な方にもなじみやすいと思います。余ったすし酢はコールスローづくりやドレッシングにも活用できますよ。

 

■ピリッと甘辛いスタミナメニュー「亀山みそ焼きうどん」

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続いて紹介するのは、B級グルメとして数年前から注目されている「亀山みそ焼きうどん」。2011年に開催されたB-1グランプリ中日本・東海支部大会で1位となり、今では三重県内のスーパーなどでも専用のたれが販売されているほどの盛り上がりですが、ちゃんとした歴史がありました。

亀山というと、東海道の要衝にあたり、江戸時代には亀山宿として栄えてきたエリア。昭和30年代頃にはモータリゼーションの発展で交通量が増え、旧国道一号線を走るトラックの運転手たちが休憩を兼ねて食事をしに訪れていた焼肉屋さんでみそ焼きうどんは生まれたのだそう。

当時、焼肉屋で提供されていたのは値段も安いホルモン。当時は処理も十分でなかったホルモンの臭みを和らげ、味をよくするために最適だったのが赤味噌でした。この赤味噌ににんにくや唐辛子、みりんなどが足されて特製のみそだれに進化するわけなのですが、お店ではホルモンとざく切りのキャベツ、特製みそだれが出されて、客が鉄板でセルフで焼いて食べるスタイル。白ごはんが進む味なのは容易に想像できますね……丼のごはんが空になったけれど、たれがしみたキャベツとホルモンがまだ残っている。そこでうどんが登場!肉汁やキャベツの水分、香ばしいみそだれがうどんに絡んで最高の一品になるというわけです。トラック運転手の胃袋をがっちり掴んだボリュームたっぷりのスタミナメニューがいつしか定着し、今の「亀山みそ焼きうどん」となりました。

……すっかり長くなってしまいましたが、家で作るときは豚こま切れ肉を使ってお安く簡単に作っていきましょう! 赤味噌は必須ですよ。

材料(2人分)

―ゆでうどん・・・2玉
―豚こま切れ肉・・・150g
―キャベツ・・・150g
―ラード(サラダ油で代用可)・・・大さじ1
―にんにく・・・1かけ
―水・・・大さじ2
―塩・・・適量
―こしょう・・・適量

<たれ>
―赤味噌・・・大さじ1と1/2
―酒・・・大さじ1
―みりん・・・大さじ1
―しょうゆ・・・大さじ1
―砂糖・・・小さじ2
―豆板醤・・・小さじ1/2

作り方

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1. たれをすべて合わせておく。特に赤味噌は溶けにくいので、ミニマドラーなどを使ってしっかり混ぜ合わせる。

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2. フライパンにラードとにんにくを入れて火にかけ、にんにくの香りが立ってきたら豚肉とキャベツを入れて炒める。

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3. 豚肉の色が変わり全体に火が通ったら、うどんと水を加えて麺をほぐすように炒める。

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4. うどんの麺がほぐれたら1.のたれを加える。

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5.タレを全体に絡めたら出来上がり。

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亀山みそ焼きうどんの味の決め手はやっぱり赤味噌。こちらの伊勢藏(いせぐら)株式会社「赤だし」は大豆麹と米麹のブレンドでコクと風味が豊かなタイプ。大豆麹だけで作った「豆みそ」は香り高くキリッとした味わいです。お好みで選んでみてください。

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その他、亀山みそ焼きうどんの素やうどんもセットになった商品が販売されていますよ。ぜひお試しあれ!

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こちらは亀山みそ焼きうどんの元祖「亀八食堂(かめはちしょくどう)」のみそだれ。スーパーでカップに入った状態で売られているそうです。母が意気揚々と送ってくれました(笑)。とっても濃厚でにんにくが効いた、パンチのある味でした!炒めものの味付けに大活躍してくれそうです。

 

■ウスターソースがベース「四日市とんてき」

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最後に紹介するのは四日市名物の「とんてき」。名前の由来は実はシンプルで「トン」は「豚(とん)」、「テキ」は「ステーキ」。つまり”豚のステーキ”という意味なんです。四日市の西新地にある「来来憲(らいらいけん)」で作られたのが始まりとされています。

ポークソテーのようでポークソテーではない、とんてきの定義はこの4つ!

(1)ソテーした厚切りの豚肉である

(2)黒っぽい色の味の濃いソースが絡められている

(3)にんにくが添えられている

(4)付け合わせは千切りキャベツが主である

出典:http://tonteki.com/tonteki.html

さらに、一枚肉の片側がつながっており、深い切り込みが入ったグローブ状の形も特徴のひとつですが、お店によってスティック状に切ったものや切らないとんてきもあるそう。今回はグローブ状のレシピをご紹介します!

材料(2人分)

―豚ロース肉・・・2枚(250〜300g)
―にんにく(厚めのスライス)・・・2片
―ラード(サラダ油で代用可)・・・大さじ1
―塩・・・適量
―こしょう・・・適量
―薄力粉・・・適量
―キャベツ(千切り)・・・適量

<たれ>
―ウスターソース・・・大さじ2
―しょうゆ・・・大さじ1
―みりん・・・大さじ1

作り方

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1. たれの材料をすべて合わせて混ぜておく。豚ロース肉は深い切れ込みを4つ入れてグローブ状にし、塩とこしょうを振り、全体に薄力粉を薄くまぶす。

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サラダ油でも代用可能ですが、ラードを使うとコクと甘みが増してより本格的な味わいに!

2. フライパンにラードを入れて火にかける。ラードが溶けたらにんにくと1.の豚ロース肉を入れて両面にこんがり焼色がつくまで焼く。

にんにくはごろっと大きめに切るのがポイント
にんにくはごろっと大きめに切るのがポイント

3.ラードが溶けたらにんにくと1.の豚ロース肉を入れて両面にこんがり焼色がつくまで焼く。

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4.両面にこんがりと焼き色が付いたらたれを回しかけて全体に絡める。

大きな泡が出てくるまで煮詰めて、肉にしっかりと絡ませます。
大きな泡が出てくるまで煮詰めて、肉にしっかりと絡ませます。

5.たれが少し煮詰まってきたら出来上がり。

とんてきの味付けはウスターソースにしょうゆとみりんを合わせただけと、每日のごはん作りでも助かるシンプルさ。コクがありながらもしつこくない甘辛味で、ごはんもビールも進みます。

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ご当地のとんてきのたれも販売されています。左は三重斎藤物産株式会社の四日市とんてきのたれ、右はコーミ株式会社の四日市とんてきソース。

 

以上、三重の名物グルメのレシピをおすすめ調味料とともに3つご紹介しました。何か気になるレシピはありましたか? 普段の献立の参考に、そして三重県に興味を持っていただくきっかけとなれば嬉しいです。

 

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