音楽に込められた情熱!バラエティ豊かな三重の音楽を体感

2019.8.23

池畑 美鈴

皆さんもよく知っている有名ミュージシャンを輩出している三重県。もしかすると、音楽に親しみを持つ機会が多いのかもしれません。

そこで今回は音楽をテーマに、活躍されている団体やお店、また活躍の場となるイベントを取材しました。

音楽への情熱をたっぷりと受け取りましたので、ご紹介します。

■年間40公演!津市を中心に活動する“合唱団「うたおに」”とは?

まずご紹介するのは、1974年設立、津市を中心に活動している合唱団「うたおに」です。

“うたおに”とは、伊勢弁の「うたおにー」(「一緒に歌いましょう」という意味)と、「歌の鬼」をかけた名前なのだそうです。

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平成30年5月には、その活動や功績を讃えられ、三重県文化賞文化大賞を受賞しています。

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普段、どんな活動をされているのでしょう。定期練習にお邪魔しました。

練習は、月曜と木曜の週に2回。19:30~21:30の2時間、日本基督教団阿漕教会(津阿漕教会)のもともと幼稚園として使われていた部屋に約25人の団員が集まります。

団長の小柴信之(こしば のぶゆき)さんの指揮のもと、楽譜を見ながら歌う皆さん。

ときに難しさを感じつつ(小柴さんは「生みの苦しみですね」とおっしゃっていました)、ときに体を揺らして体全体で楽しむような、そんな生き生きと歌う姿が印象的でした。うたおに 小柴さん

小柴さんにお話を伺いました。

―どのようなメンバーが参加されていますか?

小柴さん「年齢層としては、20代から80代までです。老若男女ですね。この合唱団の一つの特徴として、合唱団の中で結ばれて夫婦で参加するとか、その子どもも一緒に歌うとかもあります。」

―練習の特徴はありますか?

小柴さん「他の合唱団だと1曲を丁寧にやることが多いのですが、僕の方針として、たくさんの曲に触れるべきだと考えています。特に合唱の世界は、新しい作品が次々と生まれて曲数が増えていきますから、新しい曲も歌いたくなってきます。」

伸びやかで美しい女声パート
伸びやかで美しい女声パート

小柴さんによると、曲のジャンルは様々。三重県民歌を歌うこともあれば、海外の曲を歌うことも。直接海外の出版社や作曲家から楽譜を取り寄せることもあるそうです。

力強く支える男声パート
力強く支える男声パート

―公演はどれくらいされているのですか?

小柴さん「大小色々ありますが、年に40公演程度あります。毎月行うマンスリーコンサートや、他の団体の定期演奏会にあたるような“うたおに音楽会”など、定期的に発表の場があります。」

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写真提供:合唱団「うたおに」
写真提供:合唱団「うたおに」
写真提供:合唱団「うたおに」

―これから、どのような合唱団でありたいと思いますか?

小柴さん「よく合唱団は社会の縮図と言われます。社会の縮図であれば、能力の差は当然あるでしょう。例えば25人いて、その中にまだ力のない人が1人2人入ったとします。しかし、その2人を守れないような合唱団なら意味はありません。それよりも『一緒に歌おうよ』と。その2人が堂々と歌い、胸を張っていられるような合唱団でありたいと思います。」

小柴さんは、合唱団「うたおに」の雰囲気を「大きな家族」と表現されました。練習量・公演回数からみるとストイックなように感じますが、全員で歌を楽しむことを大切にされているのですね。

合唱団「うたおに」のホームページで公演・出演予定のスケジュールが公開されているので、ぜひ皆さんも素敵なハーモニーを聴きに行ってみてください。

■三重県内唯一の弦楽器専門店「バイオリン工房NAKANO」を訪ねてみた

津市にある「バイオリン工房NAKANO」。三重県内唯一の弦楽器専門店であり、弦楽器の販売・修理メンテナンスを行っています。併設のスタジオでの音楽教室には、子どもから大人までが通います。

バイオリン工房 中野さん

代表の中野雅敏(なかの まさとし)さんにお話を伺いました。

―1999年に工房を設立されましたが、きっかけを教えてください。

中野さん「16歳のころからチェロをやっていたんですね。それから楽器の製作とか修理に興味が出てきて。三重の大学を卒業してから、製作の技術を教えてくれる学校に行きました。特に最初は三重にこだわっていたわけではないのですが、三重には弦楽器を専門に扱うお店がなかったので、少しでも自分が役に立てることがあればと思ったのがきっかけです。」

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修理品・レンタル用の楽器が並びます。小さいものは、子どもに合わせたサイズのバイオリンです。

―音楽教室に通われているのは、何歳くらいの方がいらっしゃいますか?

中野さん「以前は、3歳の子がいましたね。最年長は、80歳くらいではないでしょうか。年齢は幅広いですよ。」

―大人になってから楽器演奏を始められる方もいますか?

中野さん「はい、いらっしゃいますよ。チェロなんかは、定年退職されてから習いに来られる方もいます。実際、チェロの方が教室に通う生徒の年齢層は高いです。」

新しい趣味として始められる方もいらっしゃるんですね。楽器のケアから、音楽教室までトータルでサポートしてもらえるのは心強いと感じました。

―音楽の魅力は何だと思いますか?

中野さん「音楽はかたちあるものではないので、いつでも身近に感じ気軽に楽しめるところではないでしょうか。」

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写真左:小学5年生の増田七彩(ますだ ないろ)さん、写真右:中学3年生の増田葉音(ますだ はのん)さん

続いて、バイオリン工房NAKANOで開催されている音楽教室について、週に1回バイオリンを習う、増田姉妹にお話を聞きました。

―バイオリンを始めたのはいつですか?

葉音さん「小学2年生のときです。」

七彩さん「4歳からです。」

 

バイオリン 妹

バイオリンを演奏する葉音さんと七彩さん。優雅に、そして堂々と、音色を聴かせてくれました。

―バイオリンの楽しいところを教えてください。

七彩さん「G線の力強くてまろやかな低音から、E線のきらびやかな高音まで幅広く音が出せるところ。自分の思っていることが素直に音に出るところも好きです。」

葉音さん「弾く人によって音が違うところ。自分もどんな音を出そうか考えています。自分の気持ちが音に出るので、弾く価値があると思うし、やりがいがあります。」

「これからも音楽を続けていきたいですか?」という問いに、元気よく「はい!」と答えてくれたお2人。これからも頑張ってほしいです!

音楽教室は、バイオリン以外にも、チェロ、ピアノ、フルート、オカリナ、ボイストレーニングの教室が行われており、それぞれ専門のレッスン講師が一人一人にあわせて丁寧に教えてくださるので初めての方でも安心です。

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最後に、工房技術者の土屋(つちや)さんの手によって優しく行われる修理の様子も見せてもらいました。

こちらの工房は、まちかど博物館に登録されていて、予約をした上での見学が可能です。スペースに限りがあるので大人数での見学は難しいそうですが、貴重な工房内を間近に見ることができますよ。興味がある方は、まずは一度工房の様子をご覧になってみてくださいね。

 

■県内音楽家の登竜門!?第25回みえ音楽コンクール本選が2019年9月から開催

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皆さんは“みえ音楽コンクール”をご存じですか?
音楽を学び、日々努力を続けている方々が日頃の成果を発表し、交流することにより、将来に向けての活力を得ることができる機会として、三重県文化会館で開催されており、2019年度が第25回目となります。

pamphletコンクールの出場資格は、三重県内に在住・在学・在勤されている方、また三重県内に在住・在学・在勤されたことがある方です。

部門はピアノ、声楽、弦楽、フルートの大きく4つに分かれており、ピアノ本選は65人前後、声楽、弦楽、フルートは各30人前後が例年出場されています。

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2019年の本選は、声楽部門が9月22日(日)、フルート部門が10月13日(日)、弦楽部門が10月14日(月・祝)、ピアノ部門が10月19日(土)~20日(日)というスケジュールで開催されます。

本選は無料で誰でも気軽に演奏を聴くことができるので、ぜひ皆さんも会場に足を運んでみてくださいね。

写真:三重県文化会館 第24回みえ音楽コンクールの入賞者
写真提供:三重県文化会館/第24回みえ音楽コンクールの入賞者

さらに、みえ音楽コンクールの入賞者による入賞者記念演奏会が、コンクールの翌年4月に開催されます。

写真:三重県文化会館 第24回の大賞受賞者 福島さん
写真提供:三重県文化会館/第24回ピアノ部門(大学生以上一般の部)「三重県知事賞」受賞者 福島みなみ(ふくしま みなみ)さん

「ひとつひとつの音を大切に楽しんで弾きたいです」「皆さまを素敵な世界へお連れできるよう心を込めて歌いたいと思います」といった意気込みの入賞者の演奏を聴きに、例年550人ほどの方が会場に訪れるそうです。

音楽を学び練習されている方は発表の場として、音楽を聴くのが好きな方は演奏者の発表を楽しむ場として、ぜひ“みえ音楽コンクール”をご活用くださいね。

コンサートの日程が迫るとチラシやパンフレットが用意されます。
コンサートの日程が迫るとチラシやパンフレットが置かれます。

みえ音楽コンクールの会場でもある三重県文化会館では、音楽を楽しむ機会として、ほぼ毎月のペースで“ワンコインコンサート”が開催されています。
皆さん一度は耳にしたことがあるような楽曲の演奏、アーティストによる楽しいトークがあるので、初めての方でも気軽に音楽に触れることができます。

ワンコインではありますが、メジャーデビューをしているアーティストの方ばかりなので、とてもお得に楽しむことができます。東京や大阪からも演奏を聴きにいらっしゃる方もいるそうです。

11時30分開演で約1時間のコンサートを楽しんだ後は、当日配布されるプログラムに記載の提携飲食店割引サービスを利用して、ランチもお得にいただくことができます。

お得だけれど本格的な音楽を楽しむことができるワンコインコンサートのスケジュールは、三重県文化会館のホームページをご覧ください。

 

いかがでしたか。

音楽を奏でる人、演奏者たちに寄り添い支える人。そして、発表の場。それは、聴き手と音楽が出会う場でもあります。三重県には、音楽を通して人生を豊かにしている人たちがたくさんいることを知りました。

ぜひ皆さんも、三重の音楽に触れて体感してくださいね。

(掲載情報はすべて令和元年8月現在のものです)

<今回の取材先はこちら>

合唱団「うたおに」

定期練習日時:毎週月曜・木曜 19:30~21:30
練習場所:津市下弁財町津興1267 日本基督教団阿漕教会(津阿漕教会)
HP:http://www.utaoni.com/

 

バイオリン工房NAKANO
住所:津市栗真小川町836-1
電話:059-233-5574
営業時間:10:00~19:00
定休日:火曜
HP:http://violin-nakano.com/

 

★三重県文化会館
住所:津市一身田上津部田1234 三重県総合文化センター内
電話:059-233-1122
営業時間:10:00~19:00

休館日:月曜(月曜が祝日の場合は翌平日)

HP:https://www.center-mie.or.jp/bunka/

※第25回みえ音楽コンクールについての情報はこちら

https://www.center-mie.or.jp/bunka/invite/detail/28064