伊賀忍者にも会える?! お風呂だけじゃない三重県のエンタメ温泉とは?

2021.6.25

旅行大好き ぐーたらライター 宮崎優子

グルメや絶景など観光スポットが豊富な三重県ですが、実は温泉もたくさんあることを知っていますか? 県内には71の温泉地があり全国で第14位※。そんな隠れた”温泉県”である三重県の中でも、最近注目されているのが、ショーを見たりグルメを楽しんだり、家族や友だち同士で1日中過ごせるテーマパークのような温泉。今回は、第一弾として四日市市にある「四日市温泉 おふろcafé湯守座(ゆもりざ)」に潜入。人気の秘密を探ってきました。※環境省「令和元年度温泉利用状況」温泉地数より

<index>
・オシャレな内装でくつろげる「四日市温泉 おふろcafé湯守座」
・日本の伝統文化をたっぷり楽しめる大衆演劇
・伊賀流忍者が登場する忍者ショーも必見
・「居心地の良さ」に徹底的にこだわった施設づくり
・土俵風呂やかま風呂で天然温泉を満喫

オシャレな内装でくつろげる「四日市温泉 おふろcafé湯守座」

近鉄四日市駅から車で約15分。2017年にオープンした「四日市温泉 おふろcafé 湯守座」(以降、「湯守座」)は、良質の天然温泉、「かま風呂ミスト浴」などオリジナルの風呂以外に、東海エリア最大級の舞台で演じられる大衆演劇など、いつまでも館内で過ごしたくなるような仕掛けが随所にちりばめられていて、幅広い世代から人気を得ています。コンセプトは“現代の芝居小屋”。「お風呂を通して日本独自の伝統文化にふれてほしい」という思いが込められているそう。館内も“和”を意識したスタイリッシュな内装で、落ち着ける雰囲気です。

内装は木目調で統一
いたるところに繊細な木工細工があしらわれていて、日本建築の美しさを感じられます。
三重県在住のデザイナーさんによる大浴場ののれんもカワイイ!

日本の伝統文化をたっぷり楽しめる大衆演劇

(写真提供:湯守座)

「湯守座」の見どころは、なんといっても大衆演劇。月替わりで全国から人気の一座を招いて公演が行われます。大衆演劇は、芝居・舞踊・歌謡ショーがセットで行われることが多く、同じ役者さんが、お芝居をした後に歌って踊って…と幅広い芸を披露するのが特徴。芝居は、時代劇中心の勧善懲悪(かんぜんちょうあく)を基本としたシンプルなストーリーなので、大衆演劇を初めて見る人もわかりやすく楽しめます。また舞踊・歌謡ショーでは、演歌や流行の歌謡曲に合わせて、ド派手な衣装に身を包んだ役者さんが華麗な踊りで観客を魅了します。

(写真提供:湯守座)

とにかく役者さんたちのサービス精神が素晴らしく、盛り上げが上手。最初は恥ずかしそうにしていた若いお客さんも、フィナーレはみんなと一緒にノリノリで手拍子をしていることもよくあるそうです。まさに日本の庶民に根付いたエンターテインメント。このライブ感、一度見たらクセになるかもしれませんね。
そしてこれだけの舞台が、すべて、無料(入館料のみ必要)で観覧できることにも驚き。全国で公演活動を行う人気一座の舞台を見られるとあって、多い日には立ち見も出るほどの盛況ぶりだそう。

お目当ての一座の舞台を見るためにリピートしたり、他府県からわざわざ訪れる人も多いとか(写真提供:湯守座)

ゆったり見たい人のために、「食事つき座席予約プラン」も用意されているそうです。食事しながら演劇も両方楽しんじゃうという、贅沢(ぜいたく)な時間が過ごせますね。

伊賀流忍者が登場する忍者ショーも必見

湯守座では、2020年9月から新たに忍者ショーも開催されるようになりました。ショーに登場するのは「伊賀之忍者衆 羅威堂(いがのにんじゃしゅう らいどう)」。忍者ショーや殺陣(たて)教室などで伝統文化の発信をめざすパフォーマンス集団。地元伊賀市だけでなく、海外での公演に呼ばれることもあるそうで、そんな彼らのショーも大衆演劇と同じく入館料だけで見れちゃいます!

(写真提供: 湯守座)

「伊賀之忍者衆 羅威堂」のみなさん。月1回の公演日には、彼らをひと目見ようと遠方から泊りがけでやってくる熱狂的なファンも多く、観覧席はすぐにいっぱいになるそうです。

(写真提供:伊賀忍者衆 羅威堂)

迫力満点の剣術パフォーマンスのほか、伊賀に古くから伝わる伊賀流の二丁鎌術(にちょうかまじゅつ)や殺陣など、音楽に合わせたチャンバラや演武を披露。毎回ちょっとずつ内容を変えて、リピーターも楽しめるような工夫がされているとか。

羅威堂代表の有香(ゆか)さんと竜斗(りゅうと)さんにお話しをうかがいました。

羅威堂の殺陣師である竜斗さん

◇湯守座でショーを行うようになったきっかけは?
竜斗さん「大衆演劇の役者さんとはよく共演することがあるのですが、湯守座さんの舞台に知り合いの劇団が出演することも多く、以前から客としてよく観にきていました。そうしたらある日、湯守座さんの方から『羅威堂さんで出演していただけませんか』と声をかけていただいたんです」

有香さん「ちょうど、コロナ禍でパフォーマンスの機会が減っていた時だったので、とても嬉しかったですね。今まで忍者にあまり興味のない方も、気軽にショーを観ていただける良い機会になっていると思います」

竜斗さん「最近では、和ロックバンドの『奏手候(かなでてそうろう) 』や、殺陣チームの『紅桜剣舞会(べにざくらけんぶかい) 』など、パフォーマンス集団とコラボすることも増えているんですよ。いつもと違った羅威堂のパフォーマンスを楽しんでいただけるよう工夫を凝らしています」

取材時に行われていた「紅桜剣舞会」との合同ショーの様子

◇3月からは殺陣教室も始められたそうですね
有香さん「三重県に昔から伝わる”忍者”という文化を後世に残したいという私たちの思いに共感していただき、湯守座さんのスタジオをお借りして、週1回、殺陣を教える教室を開催しています」

竜斗さん「忍者ショーをきっかけに日本の伝統文化に興味を持ってもらえるのは嬉しいですね。僕たちも湯守座さんと一緒に、地域をもっともっと盛り上げていけたらと思っています」

羅威堂のパフォーマンスを毎月楽しめます
羅威堂のみなさんは、毎月下旬に湯守座でショーを行っているそうです。2021年6月27日(日)、7月24日(土)にも忍者ショーを予定。詳細は湯守座のHPをチェックしてください。

「居心地の良さ」に徹底的にこだわった施設づくり

湯守座の人気の理由はショーだけではありません。「居心地の良さ」を追求した館内設備にもこだわりがいっぱいです。「湯守座」事業本部ユニット長の大橋真吾(おおはし しんご)さんにお話を伺いました。

◇お客さんが思い思いの場所でのんびりされているのが印象的ですね
大橋さん「良質な天然温泉を楽しんでいただくのはもちろんですが、せっかくならお風呂だけじゃなくカフェのように長時間過ごして頂ける憩いの場にしたいという想いから、リラクゼーションスペースにもこだわりました。館内の至るところに色んな形のスペースを用意して、自由に過ごしていただけるようになっています」

◇お客さんが多いのに混雑した感じがしません
「他の人からの視線が気になるとあまり落ち着けないですよね。そこで、リラクゼーションスペースの位置や動線を考慮し、できるだけお客様同士の目線が交差しないようなレイアウトにしています。だから、たくさんのお客様がいらっしゃっても視線が気にならず、混雑した感じにならないんです」
ぱっと見では気づかないようなところにまで配慮が行き届いた点も、湯守座が多くの人に支持されている理由かもしれません。

そんな、「居心地の良さ」へのこだわりを体現しているのが、こちら。館内に入るとまず目に飛び込んでくる、湯守座のシンボルとも言うべき「行燈(あんどん)タワー」です。

尾鷲(おわせ)の杉を使って造られているこの巨大なタワー。細かな装飾が施されていて、思わず写真を撮りたくなってしまうくらいフォトジェニック。内部は5階構造になっていて、各階ごとに趣向の異なる小部屋が用意されています。

お風呂に来たのを忘れてしまうくらいムード満点な小部屋。空いていれば誰でも自由に使えるというから驚きですね。カップルはもちろん家族連れや友だち同士で利用するのにも良さそうです。

施設の2階にある「宙(そら)ラウンジ」では、壁に沿うように独立したボックスが設置されていて、ボックスそれぞれにテレビとソファを完備。本を読んだりテレビを観たり、時間を忘れてくつろげそうです。

さらに、カラダごとすっぽり入れる大きな穴のようなリラクゼーションスポットも。いつまででもゴロゴロしたくなりそう。

この他にも、本好きのスタッフが厳選した約5,000冊のマンガや、最新のマッサージチェアも無料で利用可。館内にはドリンクサーバーが設置されていて、挽きたてコーヒーもおかわり自由です。Wi-Fi完備で、コンセントが利用できるエリアはコワーキングスペースのように使うこともできるそうです。

こちらは売店「おみやげ処 ちゃちゃばしら」。地元四日市市のキャラクターグッズや名産品、農産物も販売。遠くから訪れるお客さんに、三重県や四日市市のことを知ってもらおうという地元愛にあふれています。

土俵風呂やかま風呂で天然温泉を満喫

四日市市では、地下1,300m付近から良質な温泉が湧き出ているそうで、湯守座でもこの天然温泉をくみ上げて使用しています。肌触りがやわらく、刺激が少ない弱アルカリ性の単純温泉。「美肌の湯」としても女性に人気だそうです。そんな天然温泉を思う存分満喫できる、さまざまなお風呂がスタンバイ。その一部を紹介します。

(写真提供:湯守座)

「日本の国技である相撲の趣(おもむき)、土俵の品格を温泉とともに体験してほしい」と、元幕内力士の剣武関(つるぎだけぜき)が監修した「土俵風呂」(女性大浴場)。

(写真提供:湯守座)

玉砂利(たまじゃり)を敷き詰めたところに寝そべり、うるおいたっぷりのミネラルミストを浴びる「かま風呂ミスト浴」。この他にも「お茶湯」や「とうがらし湯」など、趣向を凝らした期間限定のお風呂もあるそうです。

(写真提供:湯守座)

サウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させ、体感温度を上げて発汗を促すロウリュサウナも完備。こちらは自分で室温を調整できるセルフロウリュサウナ。

(写真提供:湯守座)

週末や祝祭日にはロウリュイベントも開催。運が良ければ、大きな団扇(うちわ)であおいで、発生した蒸気を室内で対流させ、さらに体感温度を上げてくれる「熱波師」として、羅威堂のメンバーがサウナに登場することもあるのだとか。

今回紹介した「四日市温泉 おふろcafé湯守座」は、趣向を凝らしたお風呂に加えて、日本文化を感じられるショー、グルメ、ショッピングまで、スーパー銭湯の域を軽く飛び越えた総合エンターテイメント施設といった感じでした。女性専用ブースもあるカプセルホテルも完備しているので、三重県に旅行する際の宿として利用するのもよさそうですね。お昼寝プランを利用して、周囲を気にせず一人時間をゆっくり楽しむという使い方も出来そうです。

ほかにも個性的な温泉が多数存在する三重県。今後もそんな知られざるエンタメ温泉を紹介していきたいと思います。

<今回紹介した施設はこちら>
四日市温泉 おふろcafé湯守座
住所:四日市市生桑町311
電話:059-332-2611
営業時間:10:00~翌9:00 ※深夜2:00~5:00は清掃のため入浴不可
定休日:無休
URL:https://ofurocafe-yumoriza.com