「明野駐屯地」で最新シミュレーターを体験【かざり×自衛隊企画vol.4】

2021.9.17

三重県応援キャラクター 兎の助(うさのすけ)

元自衛官のタレント・かざりさんが、出身地である三重県の自衛隊を取材する企画の最終回。三重県唯一の飛行場を持ち、大規模災害時には物流や救助の重要な中継地点にもなる、伊勢市の陸上自衛隊「明野駐屯地(あけのちゅうとんち)」を取材。最新のフライトシミュレーターや管制塔を体験する様子をレポートします。

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三重県唯一の飛行場がある「明野駐屯地」

用意していただいた作業服を着て敬礼するかざりさん。陸上自衛隊の迷彩柄は緑色が基調となっています。

「明野駐屯地」には、「陸上自衛隊航空学校」(以下、航空学校)のほか第10飛行隊、飛行実験隊、第5対戦車ヘリコプター隊、管制気象隊等、航空機を使用する部隊とそれを支える部隊が主に駐屯しています。空港がない三重県で、唯一の飛行場があり、大規模災害発生時には、物資輸送や救援活動の拠点として重要な役割を担う駐屯地でもあります。

「明野駐屯地」内にある航空学校

前身は、1920年(大正9年)に開設された陸軍の航空学校。その後、1955年(昭和30年)に「明野駐屯地」として開設されました。「航空学校」では、年間約20人ほどのパイロットをめざす自衛隊員が必要な知識を学び、実機を使った訓練を行い、一人前のパイロットとして巣立っていきます。

リアルな動きで操縦士を育てるシミュレーターを体験!

航空機の運用や操縦、整備に関する教育を行う「航空学校」。パイロットをめざす自衛隊員が、実機に搭乗する前に、飛行体験を行うヘリコプターのシミュレーター。かざりさんも体験させてもらいました。

「TH-480B」というヘリコプターの操縦シミュレーターに乗り込むかざりさん

担当隊員「目の前にある3面のモニターには、実機の窓から見えるものと同じ景色が映されています。ちなみにコースは、明野から岐阜や大阪方面、滋賀県の琵琶湖あたりまで用意されています。今回は航空学校の学生の演習と、同じコースを飛んでいただきます」
かざりさん「緊張しますね!画面が本当に離陸していくみたいにリアルに動くんですね。着陸とかヘリコプターの姿勢を保つホバリングなどで、操縦桿(そうじゅうかん)の操作がすごく難しいです」

実際の訓練に使うヘリコプターも見せていただきました。こちらのヘリコプターの機種名は「TH-480B」です。

かざりさん「自衛隊機といえば迷彩色のイメージですが、このヘリコプターはブルーにゴールドの2本線というカラーリングなんですね」
担当隊員「青が空、ゴールドは太陽をイメージしていて、上のラインが操縦している学生、下のラインが隊員や管制官など学生をサポートする人たちを、また尾翼に向かってラインが上がっているのは”隊員の向上心”を表現していると聞いています」

かざりさん「実機に触れると、シミュミレーターが本物に忠実に作られているんだと改めて実感します」
「TH-480」機はヘリチーム「明野レインボー」として、創立記念日など、特別な日には複数のヘリコプターでの編隊飛行を披露することもあるそうです。

安全な飛行をバックアップする管制所と気象班

航空機が安全に飛行するための誘導などを行う管制所へ。こちらでは明野に離着陸する飛行機の航空管制を行っています。

広々とした敷地全体を見渡すことができる管制所。運用主任と、ほか4人の隊員が勤務。飛行場管制席や副管制席、地上管制席などが設けられ、それぞれの担当ごとに任務にあたっています。ずらりと並んだモニターには、気象情報や飛行計画などの情報が映し出されています。

かざりさんが手に持っているのは「ライトガン」。「ライトガン」とは無線機が故障するなど、航空機と管制所がお互いに連絡が取れないときに、目視で意思疎通を行うためのもの。3色のライトを点滅させるなどして、航空機に対して指示を出すそうです。

かざりさん「こちらで勤務するのには特別な資格が必要なんですか?」
担当隊員「航空交通管制を行うための国家試験に合格しなければなりません。そのためには、まず部内で選抜試験を受け、その後、専門技術を学ぶ自衛隊内の学校へ通い、学校卒業後に部隊でOJT(実務訓練)を実施し、やっと国家試験を受験することができます。かなりの難関ですが、最近では、若い隊員や女性隊員も増えてきているんです。実際の業務では、毎日航空機が安全に離着陸、飛行していることを感じられる、やりがいのある仕事ですね」

続いては気象班へ。こちらでは飛行場の気象観測とそのデータを全国に配信したり、気象資料を元にした予報などを行ったりしています。

かざりさん「陸上自衛隊に気象観測を専門的に行う気象班があったことは知りませんでした。皆さんがいるから飛行機がちゃんと飛ぶことができるんですね」

今回取材した「明野駐屯地」では、例年、一般の人が参加できるイベント「明野駐屯地航空祭」を実施しています。三重県を訪問した際に、参加してみたい!という人は、イベントの実施、詳細について「明野駐屯地」のHPで確認してみてください。
※令和3年度は、一般開放はありません。

~取材を終えて<かざりレポート>~
全国の駐屯地の中でも珍しい、陸上自衛隊航空学校が所在する明野駐屯地。今回初めて訪れましたが、ヘリコプターの教育訓練が行われている駐屯地だけに、ずらりと並んだ陸自のヘリには、かなり興奮してしまいました!珍しい練習用のヘリ「TH-480B」など、ほかの駐屯地ではなかなか見ることができない装備ばかり。今は難しいかもしれませんが、イベントが開催できるようになったら、ぜひヘリの編隊飛行が見たい…!

三重県を空から見守る「笠取山分屯基地(かさとりやまぶんとんきち)」

今回の企画の最後に紹介するのは、津市にある航空自衛隊「笠取山分屯基地」。伊賀市から津市に向かって南北10kmに渡って広がる青山高原内、標高842m笠取山の山頂にあります。

航空自衛隊が全国28ヶ所に配置しているレーダーサイトの一つ。約200人の隊員が勤務し、日本の領空に侵入する弾道ミサイルや航空機に対し、24時間体制で警戒監視を行っています。

この基地の食堂にも、「白山分屯基地」と同じく、航空自衛隊名物「空上げ」があります。名前は、ずばり「笠取山分屯基地空自空上げ」。カレーで味付けした唐揚げにカレーソースをかけて、バター風味のピラフの上に盛り付けたら完成。丼のようにいただけるボリューミーな一品。隊員にもファンが多いそうです。

「笠取山分屯基地」では毎年10月頃、「オープンベース」として、基地を一般の人に開放するイベントを行っています。近隣の航空基地や陸上自衛隊のヘリコプターが展示飛行を行うほか、装備品の展示、野外炊飯の喫食体験などが行われます。また、売店ではグッズなども販売され、毎年地元の人を中心に1,000人ほどの参加者があるそう。2020年は感染拡大防止のため中止に。2021年の実施は未定なので、興味がある人は笠取山分屯基地のHPをチェックしてください。

2019年の「オープンベース」開催時の様子

自衛隊の取材を終えて

今回、初めて出身地の自衛隊の分屯基地や駐屯地に足を踏み入れたかざりさん。取材を通しての感想を聞きました。
「三重県に住んでいた高校生の頃は、正直、三重県にある自衛隊のことは良く知りませんでした。自分自身が自衛官を経験して、あらためて今、地元の自衛隊の魅力を知ることができたのは、感慨深いですね。
隊員のみなさんは、普段から有事に備え、厳しい訓練を行っています。そのため、接していても、とても安心感が持てました。さらに、黙々と業務をこなす姿と、明るく親切な姿のギャップもステキ。今回の記事を読んでくださった方が、三重県の自衛隊や隊員のみなさんのことを、少しでも身近に感じていただけたら嬉しいですね」
(取材は、緊急事態宣言発令前に、感染拡大防止に配慮して実施しました)

◇今回取材した施設
自衛隊三重地方協力本部
津市桜橋1-91
℡ 059-225-0531
URLhttps://www.mod.go.jp/pco/mie/

陸上自衛隊 明野駐屯地
伊勢市小俣町明野5593-1
℡ 0596-37-0111
URLhttps://www.mod.go.jp/gsdf/akeno/

航空自衛隊 笠取山分屯基地
津市榊原町4183-12
℡ 059-252-1155
URLhttps://www.mod.go.jp/asdf/kasatoriyama/